選挙前後の公約消滅問題
少し前に参院選がありましたが、選挙のときに候補者が「当選したらこうします」と言っていた公約が、いざ当選するとあっさり覆されてしまうような場面を多々目にしました。そういう“手のひら返し”が多いと、選挙自体に意味があるのか疑問になってしまいますよね。「選挙前だけいいこと言っておけばOK」というのはあまりに不誠実に感じてしまいます。もちろん、政治事情や国際情勢、景気の変化などを理由に、予定を柔軟に変更する必要がある場面もあると思います。でも、それならなおさら、事情が変わったときに正直に「なぜ遅れているのか」「今後どう対応するのか」を説明してくれる仕組みが欲しい、と思います。
「報告制度」は必要ではないだろうか
例えば、選挙公約にマイルストーンを設けて、進捗状況を定期的に報告させる制度など。
当選後一定期間ごとに、もし公約に遅れや変更、中止があった場合には、その原因や今後の対応を説明するような仕組みです。この報告制度があれば、透明性が高まり、有権者として「なぜ進んでいないのか?」と納得しやすくなるのではないでしょうか。
公約を何かしらの理由で中止するにしても、自然消滅するのではなくてどういう事情で中止したのかを明確に伝える義務を負い、次の選挙戦ではその報告内容もことあるごとに付いて回るようにするという感じです。
柔軟性とのバランスを考えて
公約達成を厳守させる制度にしてしまうと、予測不能な世界情勢や経済状況の変化に対応できず、政策の柔軟性を失ってしまう恐れもあります。しかし、だからといって無条件に公約変更を許すのも危険に思います。「遅延や変更があった場合は、正当な理由をきちんと説明する」ことだけ義務化するくらいなら、柔軟性と信頼性のバランスがとれる仕組みになるのではないでしょうか。
他国の透明性制度からヒントを得る
イギリスでは既に似たような取り組みがあるようです。
Open Government Partnership。
公約の進捗をレポートとしてまとめる制度があって、それぞれの進捗や成果 (達成、部分達成、未達成)、それらの原因分析などが報告されているようです。
こう言う制度が日本でも取り入れられると良いですね。
まとめ
まとめると、選挙公約にマイルストーンを設け、進行状況を定期報告させる制度と、遅延や変更の際には理由や今後の対応を説明する義務を組み合わせることは、制度と信頼の両立に近い現実的な方法ではないかと思います。
柔軟性を損なわずに、政治の説明責任を高めるには、まずこうした制度を地道に積み重ねることではないでしょうか。制度改革とともに、市民やメディアも「どう説明されたか」を見ていく姿勢を持つことが大切だと思います。