フリーランスとして働くにあたって、おそらく多くの人が一度は考えたことあるであろう問題がこの議論です。
「フリーランスなら土日も関係なく働くべきだ」という意見と、「フリーランスだからこそ土日はしっかり休むべきだ」という意見。
土日も働く派の意見
土日も働く派の人たちは、主に次のような理由を挙げます。
- 機会損失を避けられる
いつでも対応してもらえるというのは、依頼側のお願いしやすさにつながって受注機会が広がる。 - 収入や成長を最大化できる
稼働日数を増やすことで、売上も増えるし経験も早い速度で積むことができる。 - キャリア初期の加速
独立初期は案件や実績を増やすことが最優先であり、そのために休日返上も厭わない。
土日は休む派の意見
一方で土日は休む派の人たちは、次のような理由を重視します。
- 長期的なパフォーマンス維持
休みを取ることで心身の疲れをリセットし、安定した成果を出し続けられる。 - 生活の質を守る
家族や友人との時間、趣味や学びの時間を確保することで、人生全体の満足度を高められる。
あとこれは個人的な経験則ですが、土日休む方針にするのは案件のフィルタリング効果もあるように思います。
お客様の業種業態にもよりますが、一般的な暦通りに運営されている企業からのご相談で土日や深夜対応に応じないと受注できない案件というのは、経験上、何かしら進行上の問題も孕んでいて疲弊に繋がりやすいご相談が多い印象があります。
フリーランスの本質は自由と責任
この問題への結論として、この記事ではどちらが正解という答えは出しません。
フリーランスの本質はいつ休むべきか、ではなくて「あらゆる方針は自分が自由に決められること」「ただし、その決定への全責任を自分で負うこと」だと思うからです。
フリーランスという働き方はすべての判断を自分で下せる代わりに、その結果の責任もすべて自分に返ってきます。
働く日や時間をどう設定するかも自由。ただし、その選択によって得られるメリットも生じるデメリットも、他の誰でもなく自分が引き受ける必要があります。
例えば、土日も休まず稼働すれば、単純に稼働時間が増える分、収入やスキル習得のスピードは早まります。いつでもお願いできるという安心感が成約を後押ししてくれる機会も増えるでしょう。
一方で、休みをしっかり確保すれば、生活リズムや健康を保ってパフォーマンスを安定させやすくできますし、インプットの時間も増えます。単純に趣味を満喫したり、友人・家族との時間に割いたりという人間らしい生活を送りやすくもなるでしょう。でももちろん、休みを増やした結果仕事が減り、生活が苦しくなったり廃業することになったとしてもそれも自分の責任です。
土日働くか休むかは「どちらが正しい」という話ではなく、それぞれの影響を理解したうえで、自分に合う選択をすることが大事だと思うのです。
フェーズによって働き方を変えるのもあり
もちろん、この方針は一度決めたら未来永劫変えてはいけないものでもありません。
例えば独立初期は、仕事を軌道に乗せるために、なりふり構わず土日も働き、2〜3年経って安定してきたら、生活の質や健康を考えて平日と休日を分けるスタイルにシフトすることも可能です。
状況や目標によって働き方を変える柔軟性を持つというのも一つの考え方です。
私の方針
私は公式には暦通りの休みを宣言しており、お客様にもそのようにご案内しています。
よほど緊急事態でなければ週末に仕事の連絡をすることはありません。
(そしてそんなよほどの緊急事態はほぼありません。笑)
ただ、作業などは週末に進めることもあったりします。
どうしてももうちょっとこだわりたいとか、少し稼働を詰め過ぎてしまったとか、自社資料を整えたりとか。
土日休んでいても誰にも怒られないけど、実際は仕事していることもあるくらいのスタイルに落ち着いています。
休むのは努力になる
ここまでの話からもう一つ見える視点としては、休みというものの性質が会社員とフリーランスではがらっと変わるという面があります。
会社員にとっては会社から最低限の休暇が与えられることは会社の義務です。
でも、会社員にとって休むのは努力になるんです。
週末休むということは言い換えれば週7日あるうち、2日は稼働をしなくても事業が成立している状態を意味します。
フリーランスの場合、ただ休むだけなら簡単ですが、同時に残りの5日でしっかりと必要な売り上げを確保するための工夫や行動が必要になるんです。
幸いにも私は独立初期から今に至るまで比較的売り上げが安定している方なので、独立初期から少なくとも表向きには週末は休む方針を貫けていますが、
今後売り上げが苦しい時期に直面したら、こんなに土日休んでいていいんだろうか、、と不安に駆られる時も出てくるかもしれません。
少し考えれば当たり前のことですが、ここは案外フリーランスになって概念が大きく変わったと感じることの一つかもしれません。
まとめ:休むかどうかより、責任の持ち方
結局のところ、フリーランスの本質は「土日休むべきか否か」という二択ではありません。
自分で判断し、その選択がもたらす影響すべてに責任を持つこと。これに尽きると思います。
土日働くことも、休むことも、どちらも正解にもなるし不正解にもなり得ます。
だから、その選択によって何が変わるのかを正しく理解し、自分の価値観や戦略に沿って決めることが、本当の意味での「自由な働き方」ではないでしょうか。